「ビビリ毛」は施術の失敗かも―治す方法はただ1つ

 縮毛矯正後に「これってどうみてもかける前よりもひどい状態…」こんな経験はないでしょうか。このような髪の毛は「ビビリ毛」と呼ばれています。このようなビビリ髪になった髪の対処法を紹介します。

縮毛矯正後に

「これってどうみてもかける前よりもひどい状態・・・」

こんな経験はないでしょうか?

 それは、いわゆる「ビビリ毛」で、何をしても元の状態には戻すことのできない状態のことを言います。縮毛矯正やデジタルパーマなどの施術が原因のことが多く、技術者側のミスであることが大半です。具体的には、薬剤やアイロンによるオーバーワークが原因のようです。

  この縮毛矯正やデジタルパーマなどの施術は美容室で1、2位を争うほどの高ダメージメニューです。縮毛矯正は、うねりやまとまらないクセ毛をサラサラのストレートにするため、髪に多くの負担をかけその代償として髪にダメージが蓄積していきます。

 技術者は、クセや髪の状態なども計算に入れて髪の毛が耐えられるレベルで施術する高度なテクニックが必要です。この縮毛矯正は、毎日のように行う人もいれば、数ヶ月ゼロというのもザラにいるのが現状です。そのため、施術する美容師により技術の差が大きく出てきます。

 どんなに気をつけていても、なってしまった事は仕方がありません。ビビリ毛になってしまった時の対処法を紹介します。

ビビリ毛の対処方法

ビビリ毛部分をカットする

 シンプルですが結局これが一番です。髪の毛は「死滅細胞」で一度痛むと何をしても元に戻すことはできません。爪で考えると分かりやすいと思いますが、割れた爪がまたくっつくことはないですよね。髪は爪と同じ「皮膚の付属器官」なので、性質はとてもよく似ています。「実はトリートメントをしても髪は治らない」ということにも繋がります。

 そのため、何をしても修復することができない、つまりは「切る」以外に解決する方法はありません。あるとすれば、それは「延命措置」です。切るのが一番だけど諸事情でそれができない場合は、なんらかの方法で切るまでの髪の状態を少しでも良くしていきます。

シャンプーとトリートメントを髪の状態に合わせてセレクト

 「ビビリ毛」というは、いわば複雑骨折みたいなものです。自分の判断で治療を試みるとかえって厄介なことになりかねません。シャンプーとトリートメントは毎日使うものなので、まずはプロの判断で変えるべき点です。

 ビビリ毛で来店される方の中には、自分でシャンプーやトリートメント、謎のマニアックな処理剤をお使いの方もいらっしゃいます。ヘアケアの知識ない人が、インターネットで探して購入するようです。このようにして探したシャンプーやトリートメントが仮に髪の状態や髪質に合わないものだとすると、さらに 痛みがひどくなることも考えられます。

 「ビビリ毛の改善にはこれを使え!」とここで言うには無責任な感じがするので、自分の判断ではなく「ビビリ毛」の扱いにも慣れているプロの判断に従うことをおすすめします。

皮膜処理

 皮膜というのは、「シリコン」などのコーティング剤のことです。皮膜はやりすぎると逆に髪の毛を痛ませる原因になりがちなので注意が必要です。この皮膜処理により、さらに髪の毛が痛んでいくという負のスパイラルにはまっていく可能性があります。

 ではなぜこの皮膜がビビリ毛に必要かというと、ビビリ毛というのは髪の毛の最強の防御壁である「キューティクル」がなくなってしまっている状態です。中身がむき出しになっているような状態と同じで、この状態のままほっておくと髪の毛が切れたり、ダメージがどんどん大きくなったりします。

 そこで登場するのが皮膜という手段です。これは、擬似的にキューティクルの役割を果たしてくれるので、髪の毛を外的な刺激から守ってくれます。手触りも多少良くなるので、ストレスも多少は減ると思われます。 皮膜は、いわば「髪の包帯」のようなものです。物は使いようで、正しく使えばシリコンを筆頭とするトリートメント軍はとても優秀な存在なのです。

 ただその皮膜形成剤は多くの種類があり、「シリコン」でくくれるものの中にも質の優劣が確実に存在します。そのため、質の良いものを選ぶ必要があります。これは素人さんにはほぼ不可能なので、これまた美容師さんに助けてもらってください。

 ただ、あくまで応急処置的なものであることをお忘れなく。トリートメントでは髪は治りません。

最終手段「ビビリ修繕」

 ここからは、僕ら美容師サイドが行う施術です。工程的には縮毛矯正とほぼ同じ手順です。つまり、再度、縮毛矯正をかけ直すという断毛寸前の髪に縮毛矯正をかけるなんて、正気の沙汰ではありません。素人レベルでも簡単に察しがつくように危険です。

 何度も言いますが、髪の毛は今の科学では傷んだ髪を元に戻す、治すことは不可能で、このビビリ修繕も、その例外ではありません。例えると“髪の整形手術”のようなもので、薬剤と物理的なストレスを与えて、チリチリになった髪を力技でまっすぐに形成しなおすというゴリ押しの力技なのです。語弊はがあるかもしれませんが、イメージとしてそんな感じに思ってください。

ビビリ修繕を希望する方への注意点

 前述した通り縮毛矯正やデジタルパーマでの失敗。ビビリ毛を修復するにはリスクが伴います。

ビビリ修繕のリスクとしては、

  • 成功の保証はできない、失敗の責任は負えない。
  • 一度は綺麗になっても、それの持続は保証できない。
  • 一見に綺麗に治っても手触りはあまりよくならない。
  • 濡れている状態は前後でほとんど変わりない。

といったところです。

 プロの仕事と言えるレベルではないので、 美容師としてできる限り避けたい施術です。

 たまに自信満々に「ビビリ毛必ず直します!!!」という人を見かけますが、理論的に不可能なので疑った方がいいでしょう。

 ”ビビリっぽく傷んでいる ”のと“ビビっている”は似ているようでかなり違います。前者は、知識と技術があれば労せずに直せますが、後者は技術を持っている人でもなるべくリスクを避けながら施術をするのが関の山なので、直せる保証をできる人はいないでしょう。

 ビビリ毛は、その痛みのタイプや程度によっても難易度がかなり異なるため、結局は、美容師さんに実際に見てもらって判断してもらってください。

 何度も言いますが、ビビリ毛修繕はリスクだらけカットするのが一番です。切れない事情の方はご相談ください。

施術前のビビリ毛
施術後
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